どうも、朝にめっぽう弱いワタシデス。
朝に弱いにも関わらず、今日は朝6時から携帯のけたたましい着信音に起こされました。前回にもこういうパターンがありましたが、今日は土曜日。確かに午前中はお仕事ですが、うーん、別段誰かに緊急で呼び出される用事は思い浮かびません。
しかし携帯に写る通話相手の名前はうちの病院の看護師さん。なんだなんだ。
AKI「もしもし…おはようございます…💤」
看護師「AKI起きて!緊急事態」
AKI「どうしたッスか…💤」
看護師「庭にヘビ出た!今見張ってる!どうしよ!」
AKI「10分で駆けつけるそこで待ってろ」 シャキーン
我、出撃ス。
この看護師さん、自宅でニワトリやらカモやらガチョウやらを飼育しておるのですが、そいつらのための水場や、餌に誘われるネズミ類、そして何よりも庭に産み落とされる卵を狙って時折ヘビが出現するという話を聞いていたのです。そこで「じゃあ今度出たら自分が捕まえるから連絡しなさい」と言っておいたのですが、時は満ちたようで。
パジャマのままスネークフックと手袋を装備して即時出動ですよ。On-call時代を彷彿とさせるこの初動の素早さ。眠気はアドレナリンで吹っ飛んでます。
看護師さんの家に現着。ワンコ達は尻尾ブンブン、ガチョウはガーガーと喚く早朝。
看護師「朝早くからごめんねー」
AKI「ヘビに関しては全然構わん。むしろテンション上がってる。で、どこよ?」
看護師「どこも何も、裏庭に出るドア開けたら分かるよ…」
AKI「いるね…」
看護師「いるでしょう…」
AKI「ニシキヘビだね、無毒だし捕っちゃうよ」
看護師「撮影は任せろー」
早朝にどんな会話してんだ。
近づくと威嚇してきたけど、早朝で体温上がってないので動きは鈍い。一発目の攻撃をかわしたところでスネークフックで首を制圧、すかさず掴んでしまいます。制圧完了。ヘビの捕獲術はね、10%の技術と90%の自信だと思ってます。
AKI「おぉ、触ってごらん、おなかの中に卵が5つ入ってる」
看護師「おぉーすごい。これはこのヘビの卵?それともうちの鳥?」
AKI「腹だしミネラル分含んだ外殻の固さだから鳥類の卵食べてるねぇ」
看護師「昨日の夜からカモとガチョウがうるさかったのはこれかぁ」
AKI「まぁ鳥達が襲われなくてよかった」
看護師「私は朝ごはんが無くなったんですけど」
自分の周り、制圧後のヘビは自ら触らせろと言ってくる奴らばかりで嬉しい限りです。職業柄まぁそうなるよね。
とりあえずはパパッと衣装ケースにぶち込んで捕獲完了です。職場に持っていって、仕事終わった後に住宅街から少し離れたところに逃がします。ヘビが出ても殺さず捕まえて少し離れたところにリリース。これ鉄則。
今回捕獲した蛇さんの紹介を少々。
豪州ではScrub Pythonと呼ばれます。学名Morelia amethystina、和名はアメジストニシキヘビです。日本における爬虫類マニアの一部には喉から手が出るほど欲しいであろう特定動物ですが、御覧のとおりオーストラリアではその辺で出現します。
最大8m級が確認されている超大型種で、オーストラリアの蛇類で最大種です。世界的にも大きさ第六位。今回捕獲した個体はおよそ2m程度の大きさですね。
アメジストニシキヘビさんは野生の個体でも発色や模様のパターンがかなりバラバラなヘビで、今回捕らえた個体は個人的にはすごく発色が美しく模様もくっきりしている綺麗な個体。色も模様もかなり違う個体が多いので、Scrub pythonと特定するのに一番手っ取り早いのは頭部のウロコの大きさと配置をみること。特徴的に大きくてシンメトリーな頭部のウロコを持ってます。
捕獲してからしばらくすると、胃の中に入ってた餌を全て吐き出しました。満腹状態だと動きづらいので、敵に襲われた際のヘビの防衛本能の一つが吐き戻しなんですが…
お前どんだけ食べてんだよ。
看護師さん宅から奪っていったカモの卵5個だけでも相当の重さなんだけど、まさかそれ以外に大きなドブネズミまで呑んでいたとは…出てきた時はビックリしたよね。
吐き戻しの様子を撮影してた看護師さんと、非常にテンションのおかしいてりやき氏の実況。 pic.twitter.com/pVxxE8dx3J
— てりやき (@happyguppyaki) 2018年5月12日
仕事終わりに看護師さん宅からさほど離れていない山の無人地帯に蛇さんリリースへ。
Scrub pythonは水辺を好む傾向もあるし、ダム周辺がいいでしょう。同時に生態系を考慮するとあまり捕獲場所から離れたところに逃がしたくはないので、この辺が妥当かなぁ。
美しい個体だった。じゃあの。
これからは野生の鳥とネズミを狙ってくれな。あまり住宅街に来ちゃ駄目だよ。
野生動物が野生に戻る姿はいつ見ても美しい。