とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州に暮らす獣医師のちょっと非日常を超不定期に綴るブログ

とある獣医の豪州生活Ⅱ

伝説の地「エロマンガ」博物館へ(2024年キャンプ5日目)

男の子の夢が溢れる町、エロマンガ

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5日目朝は6:40に起床。前日が車中泊であったためテントで寝る夜は非常に快適であった。

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特に寒くもないが前日の焚火を復活させて朝ののんびりタイム。川のほとりに陣取っているので朝活発になり給水に来る鳥や動物の姿を期待していたがビックリするほど何も来ない。たまに上空にセキセイインコの声がする程度で終わった。

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こうなると長居していても何もないので7:40には撤退準備を完了して再び道路へ。本日目指す場所はこの旅の折り返し地点である伝説の町(当社比)Eromangaである。別に卑猥な意味はない。歴とした町の名前であり、ここいら一帯の地層をEromanga Basinと呼ぶのだから仕方ない。

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エロマンガへの道のりは長い。全て舗装路なのが救いだが、ブリスベンから直通で1100kmほどある。因みにオーストラリアで一番海から離れている町なのだそうな。

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道中でオカメインコの群れが飛び出してきたので停車。地面に降りて草の種を採食中。相変わらず特有のヒョイヒョイ声が愛らしい。逞しくもこの赤い内陸の地で元気に暮らしている。

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更に道中、今度は第一フトアゴさんにも遭遇。道に転がっているところを避けて停車し撮影。近づく前に逃げてしまったが逃げるなら車で真横を通り過ぎる前くらいには逃げて欲しいものである。

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どんどん進む。エロマンガまで残り69kmの標識が現れた。特に他意はない。69でエロマンガである。

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環境はひたすら内陸。カンガルーを避け、エミューを避けて時速100kmで進んでいく。

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オカメインコやトカゲやエミューを撮影しながら走り続けること3時間、ついにエロマンガの町に到着。

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とりあえず町はすっ飛ばしてそのままエロマンガ自然歴史博物館(Eromanga Natural History Museum)へと直行。町から少し外れた荒野にあるらしい。

そう、エロマンガといえば男の子のロマン。エロマンガといえば恐竜です。

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駐車場に到着。10:50というなかなか混雑しそうな時間に来てしまった。車が3台も停まっていやがるぜ。この膨大な駐車スペースを使う時は果たして来るのであろうか。まぁ土地は有り余ってるし良いのか。

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周りの田舎的雰囲気からは異質な香りがプンプンと際立つ超近代的な博物館の外観。それもそのはず、建設開始2019年でコロナを喰らいつつの開館2022年だからね、超新しい観光スポットなのである。

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博物館内に入るとこれまた近代的でオシャレな受付。後ろにはセキセイインコの剥製が群れを成しているのがとても内陸感あって良きです。

全く事前情報無しで訪れてしまったけど、どうやらこの博物館はツアーガイド式で、ツアー時間は9時、11時、13時、15時に分かれている模様。到着時間10:57。完璧すぎるタイミングで着いた。

 

入場料35ドル。嬉々としてお支払いしますとも。田舎の産業に課金は大事だし、考古学者の助けに少しでもなるなら幸いです。

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陽気なツアーガイドの兄ちゃんに連れられてまずは視聴覚室で20分ほどのイントロムービー。ここは著作権とかで撮影禁止。内容はビッグバンから地球誕生、そして現代に至るまでの生命体の進化と絶滅の歴史。それぞれの時代の時間の長さを「ブリスベンからエロマンガ博物館までの陸路」で可視化しているのがユニーク。そうだね、ブリスベンからエロマンガの町までが1100kmだとしたら、生命の誕生は町から博物館駐車場だものね。

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そしてガイドの兄ちゃんに連れられて化石の保管室へ。エロマンガ博物館は地理的に2つ、主軸となる恐竜の化石が展示・保管・研究されています。

1つは近隣であるEulo周辺で発掘されているディプロトドン(Diprotodon)。体長3.4mほどのウォンバットの形をした、世界最大の有袋類の化石です。近場で発掘されるのでここに補完され研究されています。

そしてもう一つが愛称クーパーで親しまれている、Australotitan cooperensis。体長30mの、現在世界三位の巨体を誇る大型恐竜。エロマンガ地区で発掘された、この地域の主人公。

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館内にはクーパーの左前脚と左後脚の3Dプリント模型がデカデカと立ち、周りにはガチで発掘してきたけどまだ手が回っていない化石サンプルで埋め尽くされている状態。これはアツい。

「多分あと100年分の仕事量を超えるサンプルが保管されてる。世界恐慌が来ても仕事はあるぜ!」とは陽気なガイドの兄ちゃん。不景気が来たら真っ先に予算削られてしまうのではないかと冷静にツッコミはしない。本人は楽しそうである。

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こっちは本物のクーパーの骨。ちゃんと温度管理もしっかりしてます。しかし発掘以前のダメージは大きい。クーパーはエロマンガ地区にある牧場の私有地から出土しました。そのきっかけを作ったのは2004年に牧場の14歳の息子が牧場内をバイクで走ってたら「見慣れない石」を見つけ、これを拾ったことが始まり。この石をたまたま親がブリスベンの博物館に何気なしに送ってみたところ古代地質で小さな化石が沢山含まれていたのだ。

 

つまりは厨二病が大きな発見へと導いたのである。Euloからディプロトドンが出土したきっかけも別の14歳だったはずなので、やはり厨二病と男子の変なモノ集める癖ってのは大事なのだ。

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たっぷりと博物館を堪能して、お土産のマグネットにも課金してホクホクである。

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しかしエロマンガの凄いところはこれだけじゃない。事前情報によるとここには公衆トイレに無料シャワーが備え付けてあって、お湯も出るというではないか!

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野営民としては無料シャワーはありがたいので早速使わせていただく。掃除も行き届いておりお湯も安定供給される!すごい!ありがたい!エロマンガシャワーだいしゅき!

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シャワーのお礼にもうちょっとこの町に課金したくなったので、近くにあった「エロマンガカフェ」へ。 歴としたカフェです他意はない。因みにここはエロマンガキャラバンパーク、エロマンガモーテル、そしてエロマンガ郵便局も兼任している。

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「こんちゃっす!昼飯食えます?」

「いらっしゃい!バンズが切れてるからサンドイッチになっちゃうけど良いならね!」

「構わんですよー、オススメとかあります?エロマンガサンドイッチみたいな?」

「私が作るんだもの全部最高の絶品よ!」

「それもそうだな!じゃあフィッシュバーガーで!」

田舎のおばちゃんのノリである。ワイ氏の中でエロマンガ株は鰻登りだ。

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作りたてほやほやのフィッシュバーガー改めサンドイッチをその場でいただく。内陸の醍醐味である、美味しい。エロマンガ最高。エロマンガ万歳。

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そうこうしている間にに時間はどんどん過ぎていき、帰り支度となった。エロマンガでやりたいことはやったので、来た道を戻りこの日はQuilpieで一泊。

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