とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州に暮らす獣医師のちょっと非日常を超不定期に綴るブログ

とある獣医の豪州生活Ⅱ

日本のビジネスマンすげぇ。

どうも、長い間使っていたサンダルがぶっ壊れたワタシデス。

どうすんだよぉ、オーストラリアにおいてサンダルの無い人なんてどこにも行けないようなモンだぞ。免停中のレーサー、革靴の無いビジネスマンみたいなモンだぞ。

 

ということでビジネスマンの話ですよ(無理矢理)

 

 

数日前の話なんですけどね、まぁいつも通り病院でせくせくと午後の診察を消化してたんですよ。するとフロントにいるナースから呼ばれたのでございます。

看護師「AKI、なんかよく分からないけど人が待ってるよ」

AKI 「患者さん?」

看護師「よく分からないけど面会?」

AKI 「どういうことだってばよ」

 

もはや説明にもなっていないまま、とりあえず待合室に赴いてみると、おやおや?何やら非常に場違い過ぎる格好のアジア人が2人座っているではございませんか。いやー、物凄い異様な空気と言いますか、明らかに浮いている

ここはオーストラリアですよ。その中でも片田舎に属するであろう土地です。熱帯地方でもあります。そんな地域の、さらに動物病院なんです。

こんなところでね、バリッとジャケット込みのスーツ着てネクタイ締めてる二人組なんていないんですよ…。

 

明らかなアウェー感を醸し出す二人組から声をかけられます。

???「●×$#&%*+☆…」

 

ごめんなさい、正直すぎる意見を言います、ほぼ聞き取れなかった。でもこの母音の強い発音、こいつは…

 

AKI「も、もしかして日本人の方ですか…?」

???「えっ」

AKI「えっ」

 

 

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クロスメディカルサービスさんの動物麻酔用人工呼吸器をよろしく

うーん、こういう偶然ってあるのでしょうか、

何と言いますか、日本の会社が作る動物麻酔用人工呼吸器を、日本人が適当にノーアポ駆け込み営業をオーストラリアの動物病院で行ってみたところ、偶然にも対応してきたのがオーストラリア在住の日本人獣医師であった、という事態。もう文字に起こしても意味分かんねぇって。

 

話を聞くと、豪州のある獣医大学の麻酔科に日本人の麻酔師さんがいて(アメリカから来た日本人獣医麻酔師らしい)、そこに人工呼吸器の大口の仕事が入った帰りに、せっかくだからとうちの近辺の動物病院にノーアポで駆け込んで営業をしている、との話。確かに空港的に日本帰る前にここ立ち寄るからなぁ、時間の有効活用ってやつですか。

 

しかしもうここで日本最終学歴小学校卒の自分は感激ですよ。

 

こ、これが噂に聞く!

ジャパニーズ・トビコミ・エイギョー!!

ただね、一応まぁ時間的余裕はギリギリあったから良いけどね、オーストラリアで医療関係の営業はノーアポ基本無理ですからね、そこ気を付けてね。日本から来てなかったら思いっきり断ってるところだもの。

 

 

そんでもって差し出される名刺。うわわわ、まってまって、腰低くして両手で名刺差し出されてる。うわわうわうわ。

 

日本最終学歴小学校卒の自分はテンパりまくりですよ。

 

こ、これが噂に聞く!

ジャパニーズ・メイシ・エクスチェンジ!!

自分に名刺交換の常識なんてありません。多分片手で受け取って、即行でポケットにぶち込んだと思います。ごめんなさい。何度も言いますが小卒にそういう面を期待しないでください。こちとら最後日本に帰ったのがいつかも思い出せないし、最後にネクタイ締めた時も思い出せないのです。

 

営業「良ければ麻酔装置等少しだけ拝見してもよろしいでしょうか」

AKI「どぞどぞ」

営業「あー、なんていうか、オーストラリアの麻酔は簡易なものが多いですね」

AKI「日本の状況を知らないので何とも言えませんが、基本こんなんですねー」

営業「人工呼吸器とかは無いんですか?」

AKI「こんな片田舎の町医者病院にそんな設備を期待しちゃいけませんね。大学や緊急病棟ならまだしも」

 

 

なんか何枚か写真撮っておりました。完全に取材ですやん。構いませんが。

しかしこちらも我慢の限界です、一人がパシャパシャと写真を撮っている間に、どうしても気になってしまったので言いました。

 

AKI「しかしこんな熱帯地域に来てまでバリバリのスーツはアレじゃないッスか?上司が見てる訳でもないんですから脱いじゃってもいいじゃないですか(笑)。皆さんビックリしちゃいますよ?」

営業「(苦笑)」

AKI「……^^;」

 

豪州在住15年目の自分は戸惑いですよ。

 

こ、これが噂に聞く!

ジャパニーズ・ワラッテゴマカス!!

 

お兄さん別に親切心で言ってるんじゃないんだ。いやまぁ親切心も勿論込み込みなんだけどね、この国の動物病院でバリバリスーツは相手引いちゃうと思うの。こっちの営業は80%くらいはネクタイすら無しのYシャツオンリー何だから…。

が、今このブログを更新するにあたって貰った名刺を再確認したところ、お二方ともそこそこ上っぽい役職が書いてある…(いや役職とか分からんのですが)。上司に見られてないとかそういう話じゃなかったわ。全く縦社会に慣れていない野郎がアホみたいな忠告をしてしまった。でもね、郷に入っては郷に従えってヤツです、せめてジャケットは脱ごう。マジで。

 

彼らは飛び込み営業で何かしら戦果を得られたのでしょうかね。まぁ大口の仕事終えた後だろうから戦果無くても大丈夫なんだろうけど。

個人的には日本のビジネスマンと初めて「仕事として」エンカウントして面白かったです。

 

 

ちなみに彼らが帰った後、ナースの皆さんに訊かれたのは

「彼等はAKIの知り合いのジャパニーズ・YAKUZAか?」

です。

 

 

だからがっつりスーツはこんな片田舎じゃダメだって言ってんの!

(本人たちがこのブログを発見しないことを祈る)