とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州に暮らす獣医師のちょっと非日常を超不定期に綴るブログ

とある獣医の豪州生活Ⅱ

出産前夜の病室にて書き留める

「では19時に病院に来てください」 電話先で伝えられてから初めて緊張が走り出した。いや、実際には日中から割とずっとソワソワしていた気もするが、明らかに自覚できる動揺はこのタイミングであった。 まだ陣痛と思わしき事象もほとんど起きていない母体で…

妊娠検査薬陽性反応の日

生理が予定日から遅れること数日。妊活を始めてから2ヶ月目の夜。 「うーん、簡易の妊娠検査やってみるかぁ」 土曜の仕事から帰って来た2人で家から徒歩30秒のところにある大手スーパーへと赴く。医学的な知識こそあれど対応しているのは獣である。ヒトの発…

銅鉱石の町Cobarへ【内陸キャンプ旅7日目】

そして踏み入れる、運命の町。 今朝も空は広い。 陽が昇り始める少し前にこの日も起床。夜の蚊の空襲警報が止み、まだハエの出勤時間には早すぎる午前6時。野営地で唯一平和なひと時である。早朝の活発な時間帯を狙って、T君も自分も思うがままにそこら中に…

蚊が舞う野営地で名言に学ぶ【内陸キャンプ旅6日目】

朝の探鳥が空振りに終わった我々は自由過ぎる日程から恐怖のバカデカ蚊が闊歩する野営地点にて連泊を強行した。

2024年を振り返る

お久しぶりです、いつぞやのワタシデス。 こうやって駄文だけをただ思い浮かぶがままにキーボードに叩き込むのはいつ以来なのであろうか。 2024年12月31日でございます。年の瀬というやつです。いやはや、あっという間の1年だったなというベタな感想しかございま…

オーストラリアの獣医師の性比、年齢、収入など@2023年

AVA、Australian Veterinary Associationという組織が存在します。オーストラリアの獣医師が任意で所属し、勉強会などを開催する、日本でいうところの日本獣医師会にとても近いと思われる組織です。 自分は所属していないのですが(年会費高ぇんよ)、AVAが…

不穏な夜を乗り越えて【内陸キャンプ旅5日目】

道を切り拓いた先に、動物運は待っている。 若干の雨と強い風の夜を乗り越え、カナマラのキャラバンパークには静かな朝が訪れた。幸いだったのは風の勢いには似合わない雨の弱さである。これで豪雨が来ていたらテントの浸水、進行方向の冠水や補給路の喪失と…

太古の大地に想いを馳せて(2024年キャンプ8日目)

最終夜は数千年前へのタイムトラベル 8日目朝は5:30に起床。そりゃ前日19:30に寝ていればイヤでもそうなる。しかし外は暗くて寒い。二度寝を決め込んで次に起きたのは6:30であった。 まったりと朝の探鳥を行う。ここでの本来の狙いはクルマサカオウムである…

アキクサインコに魅せられて(2024年キャンプ7日目)

秋草の弛む大地に鳥は舞う 朝6:20、共に一夜を明かしたモモイロインコ達の朝の雑談につられて起床。もうすぐ陽が昇る。本日の目標は野生のアキクサインコに出会うこと。 身支度を整えているうちに日の出。少し南下してきた影響で朝の冷え込みも感じるように…

地の果てへ征く(2024年キャンプ6日目)

地平線まで砂を蹴って征く。 朝5:50起床。本日は小高い丘から日の出を見つつ、早朝の鳥たちを狙いに行きます。 暗い町を進み、町外れにある丘へ。ハエの量が多いのは内陸あるある。地平線の向こうから顔を覗かせた太陽に挨拶してから丘を降りる。 本来であれ…

伝説の地「エロマンガ」博物館へ(2024年キャンプ5日目)

男の子の夢が溢れる町、エロマンガ。 5日目朝は6:40に起床。前日が車中泊であったためテントで寝る夜は非常に快適であった。 特に寒くもないが前日の焚火を復活させて朝ののんびりタイム。川のほとりに陣取っているので朝活発になり給水に来る鳥や動物の姿を…

星に溺れて(2024年キャンプ4日目)

孤独で深い夜を、 南十字星は静かに照らす。 4日目朝は午前6:30分の車中からスタート。田舎の朝は早く駐車場の隣で仕事を開始したトラクターの音で起床。どうしてもシートは硬いので寝心地は良いとは言えないが足と腰を伸ばして寝ていたため快眠であった。 …

闇を切り裂く速度超過ニキ(2024年キャンプ3日目)

雨と霧と冠水とカンガルーと闇と危険を感じるんだ。 3日目朝。K君宅。天気、すごく微妙な感じの小雨。 「どうする?」 「うーーーん...Bunya Mountains National Parkは山だし天気厳しいよなぁ...朝から走るかなぁ...」 「じゃあ代わりにちょっと近場で滝が…

サンシャインコーストは今日も雨(2024年キャンプ2日目)

母さん、僕は今サンシャインコーストにいます。 サンシャインコーストは、今日も雨です。 朝の7時。南を向くリビングには向かい側のハイライズに反射した朝日が勢いよく照射を開始し、展開してあった寝袋の顔部分にダイレクトアタックをかけてきた。 死角か…

コアラは木に引っかかっていた (2024年キャンプ1日目)

ユーカリの揺籠に包まれて、彼らはひたすらに夢をみていた。 2023年の後半は新しい家探しに追われ、引っ越しに追われ、新居での新生活の基盤作りに追われる日々が続いていた。明くる2024年は3月に日本に一時帰国をして日本食を楽しんだ。そんな生活を送って…