

エンヤを見送ってから1ヶ月が経った。



仕事は忙しくプライベートも慌ただしい中で、エンヤの不在はじわりじわりと日々の生活に薄められ消化されていく。


それでもふとした拍子にエンヤの影がちらつくのは、きっと動物と死別した経験のある人だったら皆が分かってくれるであろう。


いつも寝ていたあのベッドにも、いつも外を眺めていたあの窓にも、絶対に飛び込むであろう空き箱の中にも、意味なく埋まりにくる洗濯物の山にも、鶏肉の香りが漂うキッチンにも、あるべき姿がないことに違和感を覚える。


そこにいて当たり前、そうあって当然。日常に食い込みそれを普通普遍とさせてしまう。イヌもネコも凄いよね。


それでもまぁ僕らはプロなわけで。皆しっかりと乗り越えて、前を向いてお仕事しています。しっかりと、全員揃って綺麗にお別れができていたから。安楽死ってそういう面でも良いものなんです。


この世からパズルのピースは欠けてしまったけれど、皆が心の中にエンヤというピースをしっかり焼き付けて描いているので、今日も地球はちゃんと回っています。


ホワイトボードの端にあるケンネルハンドの子たちの落書きにはエンヤはまだいてくれました。心なしか少し笑顔になってた。皆が全てを消化したとき、彼女はここからもふっと居なくなってしまうのだろう。
