とある獣医の豪州生活Ⅱ

豪州に暮らす獣医師のちょっと非日常を超不定期に綴るブログ

とある獣医の豪州生活Ⅱ

妊娠検査薬陽性反応の日

生理が予定日から遅れること数日。妊活を始めてから2ヶ月目の夜。

「うーん、簡易の妊娠検査やってみるかぁ」

土曜の仕事から帰って来た2人で家から徒歩30秒のところにある大手スーパーへと赴く。医学的な知識こそあれど対応しているのは獣である。ヒトの発生学は素人に毛が生えた程度の物事しか分かっていないし、なにしろ2ヶ月目なのだ。

 

とりあえず10連ガチャくらい回して、ダメだったら対策でも講じようね!なんて言っていたときから、単発ガチャ2回目である。まだまだこちらはコモンを引く心の準備しかしていないのだ。昨今の不妊率の話はよく聞く。

 

スーパーの医療コーナーへと向かい、妊娠検査キットがひっそりと置いてある角へ。

 

「どれが良いんだろう」

「この割引になってるやつで良いんじゃね」

「こっちのとどう違うんだろうか」

「そっちのはrapid detectionだから生理前6日には発見できるよ、ってやつだろうさ。生理予定日過ぎてるし多分普通のキットのほうがSp値高そうじゃね知らんけど」

「そっかじゃあ普通のでいいか」

 

カジュアルな会話でSp値と言えることはありがたい。検査キットをポケットに突っ込んで帰宅である。

 

「とりあえずワイは飯作るから、オシッコ引っ掛けておいで!」

 

飯作りの当番は基本自分なので、家に帰れば日常でしかない。

 

「えっ!なんかオシッコ5秒かけろって書いてあるんだけどそんなに出せる自信ない!」

トイレから声が聞こえる。平和である。

 

「パルボとかフィラリア検査薬と同じだろうし5秒とか言いつつ2-3秒でいいと思うよいけるいける」

「いや!ちょっと水飲む!!」

キッチンまで撤退してきて水を飲む相方。

 

「よし!いける!」

トイレに直行で戻っていった。いや今すぐ始めるんかい。水分補給はそんな膀胱にダイレクトアタックはしない。

 

「ワイも見てて良い?」

「うん。いくぞぉ」

「おう...おぉー...」

「めちゃくちゃ音速でポジったなぁ...!」

「えっ?これまだコントロールじゃない?」

「いやその最初の十字線がポジだよ...コントロールは後から出る線」

「えっ!?あれ...!?えっ!!!」

 

陽性反応をコントロールと間違えた相方のキョトンとした顔である。

 

「ポジったねぇー」

「すごい!!」

「早かったなぁー!もうちょい苦労すると思ってた。自分の打率に驚いたぜ...」

「これ次はどうすれば良いんだろ」

「Se値99%は謳ってるけどSp値見ようぜ!説明書説明書...あっくそダメだ一般用の説明ばかりでSp値載ってねぇ!」

「とりあえず来週仕事早退して病院行ってみるね」

「職場にはある程度連絡しておかないと。ガス麻酔もレントゲンもホルモン系の薬剤も抗がん剤系も全部避ける動きしないと」

 

「なんかウンチしたくなってきた!」

「どうしたナーバスになったからか!?ナーバスうんちか?」

「病院に来たイヌがやっちゃうあれや!」

「ナーバスうんちしたことは後世に語り継がねば」

「やめてw」

 

色々と人生が動き始めるときな気がするが、アホなことを言えるくらいにビックリするほど冷静である。

 

とりあえず忘れる前にコッソリとメモしていた文章であった。

 

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